「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないのです。
<レイチェル・カーソン>
センス・オブ・ワンダー *レイチェル・カーソン
世界で初めて化学物質が環境に与える危険性を告発した「沈黙の春」の著者・レイチェルカーソンの最期の作品。
『センス・オブ・ワンダー』とは神秘さや自然に目を見張る感性のこと。誰しもが持っているその感性を子供の頃に育み、消えることなく持ち続ける。その感性は、大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、人工的なものに夢中になることなどにたいする解毒剤になるのです。
子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直観力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
この世界の不思議さや素晴らしさを大人が教える必要はなく、子どもと一緒に感じる。そのきっかけを作ってあげることが大人の役割だと思います。
私は雨の日に登山をするのは苦手だけれど、雨の日にしか感じられないことがたくさんあります。苔は水を含み活き活きとしていますし、レインコートを叩く雨の音や、幻想的な霧の世界に出会うこともあります。
花の匂いに気づくこと。風の音を聴くこと。花が咲いていることを見つけること。虫たちの働きを見ること。知らない植物に興味を持つこと。
日常生活にだって溢れています。あとはそれに気づくかどうか。そして気づいた子供の感動を無視していないかどうか。
わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要でないと固く信じています。
子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。
もし私に子どもがいたらこの本のように『センス・オブ・ワンダー』を育めるようにしたい。そしてその心のゆとりがあるようにやっぱり自分を整えようと思うのです。
子どもがいる人はもちろんのこと、自然は好きだけれど忙しい毎日を送っている大人にも読んでもらいたい本です。
センス・オブ・ワンダー [ レイチェル・… |
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